西上州・・・って?


最終更新 2011年12月26日
西上州・・・ってどこ? どんなとこ?

群馬県南西部、関東平野の北西端から概ね西の地域、富岡市、藤岡市、安中市、高崎市の一部、甘楽(かんら)郡、多野(たの)郡の一帯を「西上州」と呼んでいます。地元では上毛(上州)の南西部一帯地域であることから「西毛(せいもう)」と呼ぶのが普通です。
以下この項では「西毛」に統一させていただきます。

利根川の西へ向かういくつかの支流から碓氷川(うすいがわ)、鏑川(かぶらがわ)、神流川(かんながわ)の流域地域となり、内陸性の太平洋側気候です。平野部では冬でも雪の降ることは少なく、条件的には低気圧が南岸を東進する東京で降る時と同じです。前述のように内陸性のため夏暑く冬寒いというはっきりした気候を示し、特に夏の暑さは国内でも指折りと言っていいでしょう。反面、冬のからっ風(浅間おろし、赤城おろし)は全国的にもよく知られていると思います。
ちなみに群馬名物の「3K」として、かかあ天下、からっ風、雷があげられます。他地方からやって来てかかあ天下はともかく、風と雷には大概驚かれるのではないでしょうか?

とは言え、地震、台風、雨・雪など、自然災害が極めて少ない地域でもあり、住みやすさは全国一と自慢できます。
平成に入って上信越自動車道が開通し、長野新幹線も安中市を経由しています。東京からは1時間前後の距離となり、必ずしも喜ばしいことばかりではないのですが、あらゆる意味で誰もが想像されるような変化が起きているのも事実です。
西上州ってどこ
この付近一帯は古くから「かむらの(甘楽野)」と呼ばれており、万葉集の一節にもこの地名が登場します。その名は「唐(から)」がなまって「かんら」になったとも言われ、明らかに渡来人との関係を示すものでしょう。前方後円墳・円墳・方墳など無数の古墳群が存在するのも、この地の歴史的古さを物語っているようです。元々現在の西毛地区ほぼ全体が一つの甘楽郡だったようですが、やがて南北に分割され、多野郡が生まれ、富岡、藤岡、安中が周辺町村と合併し市制となり現在に至っています。

同時に、富岡市には日本で最初の官営工場として明治黎明期の粋を尽くした「富岡製糸」があり、近代工業発祥の地としても有名です。今でこそハイテク国となった日本ですが、明治時代には蚕糸工業製品が最大の輸出産業でもありました。富岡市など関連市町村では現在、この製糸場を中心とした養蚕&絹工業遺構群を世界遺産として残すべく関係各機関に働きかけています。

県内の地域割り、あるいは中選挙区時代の区割りとしても、従来多くの場合西毛の代表として高崎市を含めていました。しかし現在の高崎市は平成の大合併により当地の北を東西に覆うよう多くの地域に跨り、なかなか微妙な位置関係となっています。平野部(都市部)に住む多くの旧高崎市民のみなさんは西毛と呼ばれるより、中心というニュアンスの強い中毛あるいは県央と呼ばれることを好むでしょう。したがって、この項では旧吉井町を除き高崎市は対象から外させていただきます。

また、行政や歴史、一般的観光案内等は各々の市町村が運営するオフィシャルページに任せました。ここでは個人的趣味による西毛、そして地元甘楽町のマイナー情報を中心としています。
 
行政割
西毛は・・・

上述のように関東平野端っこの平野部を含む安中市、富岡市、高崎市、藤岡市に囲まれ、山岳部の多い甘楽郡、多野郡の4市3町2村からなります。海抜100m以下の平地から2000m弱の中級山岳まで含み、西の上信、南の上武県境には河川が深く入り込みます。中でも碓氷峠や内山峠に代表される上信県境では高原状の信州側に対し、上州側は深く急峻な谷筋となりはっきりした地形差があります。そのため上信越自動車道も長野新幹線も標高差がありすぎ、大きく迂回しながらトンネルを連ねて長野方面に達しています。

西毛は地形的に西と南がそれぞれ、1200〜2000m級の山々に囲まれたL字(レの字)のように北東に開いています。そのため多くの場合西や南から変わってくる天気もそれら山々に遮られ、大雨の降りにくい地形だと言えます。加えて西毛の更に西には八ヶ岳や中部山岳などもっとずっと高い山々が多く、南にも奥秩父の山々が幾重にも連なります。西毛に雨雲がやってくる頃には息切れしちゃっていつもピーク過ぎなんですね。
理屈の上では関東南岸に低気圧がある時、北東風が吹いて雨が降りやすくなります。でも、西毛の北東って海がありません。上越の三国山脈、日光連山や足尾山塊が盾になってるんですね。上の日本地図抜粋からも分かるように群馬県、そして西毛は隣り合った信州の佐久地方共々、日本列島中もっとも海から離れた地域なんです。

それでも2007年9月の台風9号では西毛各地で観測史上最大雨量を記録(当地の稲含山では降り始めからの2日間で約600mm)し、山岳部の林道や谷筋を中心にけっこうな被害をもたらしました。西から東進してくる多くの台風は西毛にとってほとんど驚異となりませんが、唯一南から直線的に北上してくる台風には要注意。台風9号はまさにそのルートに乗っていました。にもかかわらず、人的被害はほとんどありません(死亡者0、けが数人とか)。東京など南関東で大雨の時に西毛では晴れていた、なんてことが良くあります。周辺各地で警報が出ている時、県内や西毛はまったく無印と言うこともたびたび。ホントに自然災害は少ない!
1年は・・・

県境山岳部の最高積雪は50cm前後と思われ、1mを超えることはよほどでなければないでしょう。厳冬期の最低気温は平野部でも氷点下が普通です。その平野部で10cm以上の積雪となることが以前は毎年4〜5回くらいありましたが、最近は多くても2〜3回と半減した印象です。冬季から早春にかけてのからっ風は西毛に限らず上州を語る代名詞の一つです。一冬に数回、猛烈な風に台地状の畑地では視界10m以下という土埃のブリザードに見舞われます。対して夏の最高気温は近年平野部では40℃に迫る勢いです。35℃以上の猛暑日ももはや珍しくありません。

梅雨入り前の5月中旬から6月上旬には、晴れれば当たり前のように真夏日となることが普通にあります。この時期に寒気が流れ込むと時には真夏以上に激しい雷や雹となることがあり、農産物等に大きな打撃を与えることがあります。梅雨時期の雨量は関東全体の平均からすれば少ない方と思われ、例年ですと6月10日前後から7月20日前後までの40日間ほどです。

夏の雷には十分注意が必要です。近年は比較的穏やかですが、それでも他地方の人達をびっくりさせるに十分でしょう。筆者も過去数回50m足らずの位置に落ちた落雷を見ましたが、いやいや何ともど迫力でした。四方八方からの衝撃波が家々を揺すり、どんなオーディオ装置をもってしても足元にも及ばない大音量雷鳴サラウンドを聞くことができます。ちょっと怖いけど、そのど迫力はある種快感でもあり・・・・^^; 但し、電化製品の、特にPCやTVなどサージ対策が必須です。筆者宅でも近くの電柱に落ちた雷のサージにより、一部電子機器をやられたことがありました。自然災害は少ないと繰り返しましたが、これだけは注意も必須でしょう。

秋の紅葉は山岳部で10月中旬から、平野部は11月下旬から12月上旬頃です。11月下旬頃から平野部でも霜への備えが必要となり、12月に入ると初氷を見るようになります。秋雨が明けると10月中旬から翌春まで乾燥した日々が続きます。雨・雪の前後を除き異常乾燥注意報が出っぱなし。その時期、乾燥による静電気対策が必須です。
 
甘楽って・・・、

当地甘楽町を含む現在の甘楽郡ですが、最近まで下仁田・妙義・南牧を含む3町1村からなっていました。
  西毛の表玄関であり、小幡氏・織田氏など城下町としても知られる「小幡」のある甘楽町。
  市場の70〜80%を占めるこんにゃくの集積地、そして全国ブランド「下仁田ねぎ」で有名な下仁田町。
  県内でも有数の山村景観を見せ、知る人ぞ知るインターネットの先進地南牧村。
  峨峨たる山体の妙義山をバックとする妙義町。
このうち、現在では平成の大合併により妙義町は富岡市と合併しています。
 
 
「上毛かるた」と西毛 工事中
 
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