ディープ・パープル
最終更新 2005/8/5
 
実は、リアルタイムではほとんど知らない。当時はノリの良いいくつかの有名曲とせいぜいグループ名を知っていた程度にすぎない。ハードロックの王者としてパープルが全盛を誇った70年代初頭、私なんぞはまだまだお子ちゃま。パープルに入れ込むにはあまりに幼すぎた。しかし色々意見はあろうが後にヘビメタへと続くハードロックのメインストリームがこの時代、ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンから始まったと言って異論を挟む人は居ないだろう。
特にパープルはあの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の印象的なイントロ(最近ではプップップッーというギターを抱えた「あやや」のCMでもお馴染みだった)など、テレビ・ラジオでは効果音の一つとして今でもよく耳にする。ちょうど当時のハードロック世代が今や番組やCM企画の中心的世代なのかもしれない。スポーツ・カーのCMでは「スピード・キング」や「ハイウェイ・スター」。共にその題名だけでもまさにピッタリではないか。その種のCMや企画物など、見る側聴く側に印象的な記憶を残す一つのアイテムとして、パープルの音楽ほど効果的なものは未だ少ないということらしい。
そんなパープルの存在であるが、私が実際に聴くようになったのはすでに80年代を迎える頃。リッチー・ブラックモアが在籍した黄金期から、すでに10年が経とうとしていた時期である。当時、金のない若い頃は(今でもないのだが)もっぱらFMからのエアチェックが中心。その頃せっせとテープに残して聴いた音源が、今やCD時代になってようやく劣化を気にすることなく好きなときに楽しめるようになった。
アルバムはよく知られた極めつけの3枚をやはり上げない訳にはいかない。
スピード・キングやチャイルド・イン・タイムの入った「イン・ロック(70年)」
ハイウェイ・スターやスモーク・オン・ザ・ウォーターの入った「マシン・ヘッド(72年)」
そして名盤と言われる「ライブ・イン・ジャパン(72年)」である。
どれか1枚、っと言うなら躊躇なく「ライブ・イン・ジャパン」をあげる。先の4曲中の3曲も入ってるし、前述のようにハードロック史上指折りの傑作ライブアルバムでもある。
但し、「ライブ・イン・ジャパン」は強力に押す価値がある反面、これを最初に聴いてしまうとスタジオ録音の前2作が実におとなしいおとなしい。まるでフォークバンドが正座してやってるみたいに聴こえちゃうから笑っちゃう。メンバー、特にライトハンド奏法も無かった時代のリッチー・ブラックモアの全開ギターはスタジオ録音の比ではなく、ジョン・ロードもイアン・ギランも絶好調。これは出来れば最後にとっておくことをお薦めしたい。それくらい「ライブ・イン・ジャパン」のノリは桁違いなのだ。
そう言えばこの原稿の初稿を書いた頃、リッチー・ブラックモアがテレ朝の「ニュース・ステーション」に出ていた。ゲストで曲も披露したので懐かしく見た人もいるだろう。リッチーはその頃アコースティックのアルバムも出していて、ちょっとした営業気分だったのかも知れない。往年の全開ギターではないが叙情的で中世世界を思わせるエスニックで舞曲風な曲調が美しく、お気に入りのひとつとなっている。奥さん(確か?)のキャンディス・ナイトがボーカルを担当した「ブラックモアズ=ナイト/シャドウ・オブ・ザ・ムーン」というアルバムで、いわゆるアンプラグドに近いアルバムだ。
 
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