マイ・フェア・レディ  No.02  980401
 
舞台も映画も大ヒットしたミュージカルである。アラン・J・ラーナー&フレデリック・ロウによるコンビ最大のヒット作と言っていい。ここではオードリー・ヘップバーンが主演した映画版について話をしよう。
話の筋は今更説明するまでもないのだが、面白かったのは主演のヘップバーンが決まった経緯である。
元々ジュリー・アンドリュース主演による、ブロードウェイ・ミュージカルであったことはよく知られているところ。実際、他の出演者はほとんどそのまま映画でもやっていた。ところがなぜかアンドリュースだけは降ろされてヘップバーンに変わってしまったというのだ。どうやらプロデューサーの意向で、映画ではまったく無名だったアンドリュースはとても使えないということから、当時全盛を誇ったヘップバーンになったということらしい。
「パリの恋人」や「ティファニーで朝食を」などで歌を披露しているヘップバーンでもある。本格的ミュージカルだって出来ない訳じゃないだろう。ところがマイ・フェア・レディはクラシックのソプラノ歌手を思わせるオペラ的発声の曲が多く、特に有名な「踊り明かそう」などその道の専門家じゃないとちょっとしんどい。一度は訓練もしたのだろうがとても無理と判断されたのだろう。この映画ではゴースト・シンガーのマーニィ・ニクソンが、歌の部分のみ吹き替えを行っている。(サントラ盤レコードの解説では一部でヘップバーン自身も歌っているとのことだが)
ニクソンはこれ以前に「王様と私」のデボラ・カーや「ウェスト・サイド物語」のナタリー・ウッドを吹き替えた、この道の専門家である。後に「サウンド・オブ・ミュージック」のソフィアという尼僧のチョイ役で出演している。わずかだが台詞や歌もあるので、よく聞いていればその声でこの人だと判別出来るだろう。
ついでに言えばアンドリュースがそのサウンド・オブ・ミュージックで主演し、ミュージカル・スターとしても映画スターとしても後に大成功したのは御存知の通りである。
個人的にヘップバーンのファンであった私としては、ニクソンの歌も含めてまったく映画的価値に問題はない。アカデミー作品賞を取ったのも極めて妥当な選択ではあったろう。しかし、さすがにヘップバーンが主演女優賞を取れなかったのは、「しょうがねえな」と言わざるを得ない。
私が好きなナンバーとしては特に次ぎの曲が気に入っている。
「ステキじゃない」
冒頭近くで歌われるちょっと可愛い雰囲気の歌。映画ではヘップバーンの台詞とニクソンの歌が絶妙に編集されている。
「運が向いてきたぞ」
どこかで聴いたようなメロディの威勢のいい曲。未だにどこで聴いたか思い出せないのだが。
「踊り明かそう」
このミュージカルの代名詞的存在の有名曲。マイ・フェア・レディと言うと必ず真っ先に取り上げられる。
「時間通りに教会へ」
こちらも映画で聴く前からどこかで聴いていたような気がしてならない。それくらいキャッチーでポピュラーということなのか?。
 
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