終身犯
 
何ともしぶい映画である。アクション映画ではない。
「OK牧場の決闘」や「ベラクルス」のように、西部劇のアクション物が多いバート・ランカスターが主演である。予備知識なしに見たため当然アクション映画と思っていた。テレビで言えば「逃亡者」のようなものであろうと。実際はいわゆる社会派映画であり、私にとっては「奇跡の人(旧作)」や「12人の怒れる男たち」とともに、もっとも印象に残る映画となっている。ただ何分にも20年ほど前に1度見ただけである。細かい記憶が曖昧となっているのはご容赦願いたい。50年代か60年代初期のモノクロ映画であったと思う。
確かあらすじはこうであった。
殺人?を犯した主人公が終身刑を言い渡され刑務所の独房で孤独な禁固刑に服していた。何の希望もない絶望的な状況の日が続く毎日。そんなある日、ふとしたことから興味の対象を見つけた主人公が、刑務所内でその研究を始める。年月が経ちやがてその道の権威となってしまう主人公は、人として大きく成長するが・・・・
何の権威となりどうなったかは映画を見ていただくとして、話自体は実録を映画化したものだったと記憶している。
映画のパターンとしてはいかにもありそうな話と思えなくもない。出来過ぎじゃねえのかと疑いたくもなるのが人情であろう。ただ、いわゆるお涙頂戴映画とは違って、ドキュメンタリータッチの構成がよかった。先にあげた「奇跡の人」もよく知られているように、ヘレン・ケラーの実話である。フィクションではあるが「12人の怒れる男たち」もドキュメンタリータッチであった。どうも昔からこの手の映画には弱いのだ。どれも映画または演劇としての演出はあろう。それにまんまとはまってしまう自分が情けないやら愛らしいやら。
昨日終わった長野五輪のようなスポーツの世界も同じだが、結果を出すためにはその背後に膨大なモノがあったはず。ドキュメンタリーはそのモノを綴っていくだけに我々を感動させるのだろう。単なる作り物として制作されなかったところにこの映画の成功があった。興行的にどうであれ、これら映画の存在価値は今もまったく変わらないはずである。
しぶい映画なのだ。
 
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