スター・トレック  No.17
 
未来の月や地球外惑星(火星)で、一般人が長期居住できるのかと言えばそれは断言するが不可能。様々な場所での居住や星間飛行なんて、希望的展望や未来予想は枚挙にいとまが無いけどはっきり言ってすべてうそ。莫大な費用捻出のため一般人からの賛同も不可避な訳で、だから夢を見せてこんな素晴らしい未来が待ってますよって・・・・
 

記者
「CMでもやってた(98年初回アップ時)ように来世紀早々には宇宙旅行が実現するでしょ。以前遅れてると言ってた宇宙開発もようやくって感じです。そこで質問ですが、「スター・ウォーズ」や「スター・トレック」みたいな時代がやってくるのはいつ頃になると思いますか?。」

天野
「小規模、短期間の範囲なら月への旅行とか、来世紀(21世紀)半ば〜後半に掛けて金持ちの旅行としてある程度普及してくると思う。まだまだ遠い未来だけどいずれは火星も対象となるかもしれない。
太陽系内で主に距離的な意味で、ある程度条件が整いそうなのは今のところ月と火星しかない。ただ一般人が長期居住できるのかと言えばそれは断言するが不可能。訓練を受け科学調査とか目的を持った宇宙飛行士ならともかく、居住を目的とする一般人はたとえそれらの星にホテルや施設が出来、法的経済的にすべてが可能になっても無理。旅行で出掛けるのと住むのでは別次元の話しだってこと。
理由は簡単で重力が地球上とはまったく異なるから。月で地球の1/6、火星でも1/3しかない重力下で一般人は生活なんて出来ない。地球上で軽くジャンプしたつもりが、月では1m以上の大ジャンプになっちゃう。歩いたり走るつもりで床を蹴ったら空中浮遊の前方宙返りになっちゃうかも? じゃあ体重の5倍の重り持って歩くか? それもまったく現実的じゃ無く、比重が大きくて安い鉛のような重り持ったとしても、地球体重70kgの人が体積換算で30リッター程度の鉛を背負って歩く? 施設内でそんなの常に持ち歩けるかって話しだし、無駄に重い物なんてロケットで運べるかよ!って。それでも飛行士用なら数も限られるし大きさはともかくそれ自身の重さや価格もあまり考えなくていいから、油圧やバネ、ショックアブソーバーなど駆使して負荷を掛けできなくは無いだろう。とは言え、居住目的の一般人がそんな面倒なことしてまで暮らしたいですか?ってこと。
火星ならまだ移動時間が長いので慣れという意味では有利だけど、月までじゃそんな時間もない。ほぼ突然重力1/6の地に投げ出されるってこと。そのままじゃさっき話したようにまともに歩くことすら出来ない。たとえば宇宙飛行士でも中長期の無重力状態から地球へ帰還した際歩けなくなっちゃうだろ。それと逆のことが月や火星で起きる。やっと慣れた頃には今度は筋力退化や骨粗しょうが著しく他の場所(星)には行けなくなっちゃう。何より体型が恐ろしいほど激変するから、それを一般人が容認出来ますかって話しでもある。昔の火星人の想像図がタコのような姿だったのは、おそらく1/3重力下なら足なんてこんなもんだろうと考えての発想だったんだろうね。
ついでに重力の小さい所から大きい所への移動は更に困難を伴うだろう。現在の国際宇宙ステーションに長期滞在する飛行士達は毎日、人工的に負荷を掛けた装置で数時間の運動をしなければならない。それでも帰還時にはほとんど歩けなくなっちゃう訳で、機械的にも人的にもたくさんの補助が必要になる。彼らには任務や使命感があるから耐えるけど、一般人のそこまで訓練されてない精神も体も居住目的として耐えられますか?って。
したがってそう遠くない将来月基地ができ、ゆくゆくは私達も移住して・・・・なんて話しは良くあるけど、それはあくまで先の使命感を持った飛行士や軍人・科学者らの話。決して一般人が居住できると言う事では無いし、わざと私達に勘違いさせるよう話されてるけどそもそも対象とされてない。いよいよ基地建設と言う事になった時、その建設作業者だって専門の訓練を受けた軍人とかがすることになるだろう。
ちなみに月の重力に慣れた人が地球に降り立てば単純に6倍の重力を受けることとなり、歩くのはもちろん立つことさえ出来ない。換言すれば戦闘機の高速旋回中と同等かそれ以上の重力をやせ細った体で常に受け続けることとなる。
繰り返すけど、旅行と居住では次元が違う。うがった見方をすれば莫大な費用捻出のため一般人からの賛同も不可避な訳で、だから夢を見せてこんな素晴らしい未来が待ってますよって・・・・」

記者
「まあほっといても退化はするけど、一度落ちた筋力を付け直すのは大変そうですよね。」

天野
「未来の地球外惑星や衛星とか様々な場所での居住や星間飛行なんて、希望的展望や未来予想は枚挙にいとまが無いけどはっきり言ってすべてうそ。どう好意的に見ても物理法則を無視した超楽観的夢物語。100年200年経っても無理。どこかの星の上で重力の違いを相殺させるなんてそんな簡単なことじゃ無い。繰り返しになるけどそもそも一般人がそんな思いしてまで暮らしますか?って話し。最大限譲っても一般人にとっては地球重力±20%程度までの範囲が限度だろう。それだって人の体型はだいぶ変わる。放射線や温・湿度等環境的な部分で克服しなければならないことは様々あるけど、最も重要な重力のことを話題にしないのはどういうこと? なぜそれに触れた話が出て来ないの? すべてがうそだってばれちゃうから?
月面でも他の惑星や衛星上でも、閉じた施設内に地球と同等の環境を作り出すことはそう難しいことじゃない。でも重力をコントロールすることはそれらの星に固定された施設内ではほぼほぼ不可能と言っていい。超楽観的夢物語を壊したくないから重力の件は無視しましょうってことですか?
っで、そこで登場するのが宇宙空間に浮かばせるスペース・コロニー(注1)ってことになる。これは回転させることで遠心力を発生させ重力を持たせられるから、可能性としてはこちらの方が遙かに高いし有望。よく映画とかで見る宇宙ステーションが回転してるのはこのため。スペースコロニーでは一度適正重力(遠心力)を保つだけの回転を与えてしまえば、宇宙空間の真空&無重力中なので回転はなかなか弱まらない。それでもコロニー内部であれこれ動く人や乗り物や機械の反作用等のため回転は徐々に遅く、状況によっては早くなるけど、それはたとえば重力が1%変化したら回転や位置を元に戻すためロケット噴射するというようなコントロールを加えれば問題ない。
これらのことは先の宇宙空間に浮かばせるからこそ低エネルギーで実現出来ることであって、たとえ1/6重力下でも月面に固定された施設では何をしようにも摩擦等の抵抗が生じてしまう。けっきょくそれは無駄にエネルギーを消費することに他ならない。さっきほぼほぼ不可能と言ったのを強いて言い直せば、超伝導磁石の応用とかからリニアではなく円軌道を月面上に作り、ドーナツ状の巨大な円形車両(施設)をぐるぐる回し1/6重力と遠心力の合力として1Gを作り出すなんてのが一つの解決策になるかもしれない。それでも宇宙空間と比較すれば建設コストもエネルギー効率もかなり悪いことは明らかだし、だったらはじめから宇宙空間に作るよねって話し。
ちなみに、人は半ば反射的に見た目の上下で下が床と判断しちゃいがちだけど、このような回転体では回転中心が上で床は遠心力の掛かる施設の側面と言うことになる。中心の無重力状態から外周部の1Gまで距離によって様々な重力が得られることでもあり、新素材開発や科学実験とか飛躍的な発展が期待できるかもしれない。
いわゆるSF映画やドラマでは、他の惑星上、衛星上、宇宙船内などどこに行っても重力は地球と変わらないものとみんな端折って(初期のSF映画等では違いを表現しているものもある)描かれてる。宇宙船自身が加減速するときも同じ。そりゃ映画とかで重力の違いまで表現しようとしたらいくら金があっても足らなくなりそうだし、見る側からしてもそこまでの再現性は望んでないだろう。
けっきょく何をするにしても重力(分有引力や慣性力等)を制する何らかの手段でも無けりゃどうにもならない。SF世界なら反重力装置でもなんちゃらコンバータでも空想し創作すればいいけど、現実世界では普段ほとんど意識しない所にもっとも避けようのない大問題があるってこと。
それに加え広大な宇宙を舞台にするようなスター・トレックなんて、そもそも可能なのかどうか大いに疑わしい。」

記者
「楽観的な天野さんでもほぼほぼ全否定ですか?」

天野
「だってスタートレックに絞ったってとにかく宇宙はでかすぎる。途方もなくでかい。
一応観測可能な範囲を半径140億光年として、距離的には1光年が約10兆kmだからその140億倍ってことになる。もっと遠くの観測不能な範囲まで入れたらいったいどれくらいのスケールになるのか、我々一般人が考え及ぶところじゃない。ホーキング(注2)らの提唱するインフレーション理論では、宇宙創世のビッグバンからわずか10のマイナス30数乗後にはすでにその大きさを遙かに越える大きさになっていた、って言うんだから一般人に理解しろってえのが無理。更に現在地球上での時間とビッグバン当時の時間スケールは違うからとか言われても、はぁ??って。
まあしかしとりあえずはすぐ隣の恒星までってことで、この太陽系から一番近いと言われるケンタウルス座のα星まで、片道およそ4光年(40兆km)の距離を往復するとしよう。現在作り得る最高水準の技術で、金に糸目を付けず、目一杯燃料を積んで、最大限の加速をして秒速1000kmで巡航したとする。さてどのくらい時間がかかるかと言うと、これで約2500年かかっちゃう。つまり現行科学技術の延長線ではどうあがいても、スター・トレックなんてまったく不可能ってことだな。
っで時々、「1G相当の加速し続ければスピードはどんどん速くなるし重力もずっと1Gが掛かって問題ないじゃん」なんていう、言っちゃ悪いがとんでも発想する人が居る。オイオイどれほどの燃料積めば良いんだよ!? 膨大な燃料を積み重くなった船体を1Gで加速し続けることがどれほどのことか分かってる?」

記者
「なんか夢がなくなっちゃいますねえ。」

天野
「ついでに言えばさっき秒速1000kmと例示したけど、そのスピードだってとんでもない早さで地球の直径を13秒ほどで通過しちゃう。それでも光速と比べれば1/300だけど、そりゃもう亜光速と言っていいほどの早さ。ピストルとか銃弾スピードの多くは秒速1km以下だけど、その1000倍と言うことならそりゃ−早い。ちなみに地球はおよそ秒速30kmのスピードで太陽の周りを1年掛けて公転してるんだけどね。
とにかくそれほどの超高速だから、障害物があってもひらりひらりと交わすことなんて出来ず直線運動となる。っで、火星と木星の間には小惑星帯があり、太陽系の外側にもオールトの雲と呼ばれる微惑星の集まりがあると言われる。実際は宇宙のスケールからすればそれでも隙間ばかりなんだろうけど、たとえば超高速であるがゆえに握り拳大の石だって何も対策してなきゃ衝突時の破壊力は壊滅的。1000km先の数10cm のチリや微惑星を1秒以内に発見し回避出来ますか?って。普通に考えてそんなこと出来ない訳で、これも SF で良くある超強力なバリア装置とか無いと航行なんて出来ない。もちろん機械的なバリアでは無く、電磁的とかレーザーとかで前方空間や船体全体を保護するバリアってことだけどね。
それを装備しない現在のロケットが、スピードこそ遠く及ばないとは言えいかに無謀な冒険であるか分かるだろ。さあどうしましょ?」

記者
「希望も無くなった。」

天野
「っで、現在のロケットエンジンじゃいくら推力を増してスピードを上げようとしても、比例して使う燃料も図体も膨大になっちゃう。結果的にロケット自身の重量も重くなっちゃうから慣性が大きくなって、スピードも上がりずらいし止まりずらい。惑星などの引力を利用するスイングバイって言う方法もあるけど、それとて条件しだいだしそう簡単に位置関係が整わない。つまりまったく新しい発想のエンジンでも考えつかなきゃ、スター・トレックなんていつまで経っても夢のまた夢ってこと。
で、考えられたものの一つに光子ロケットってやつがある。パラボラアンテナのような半径数km〜数十kmという馬鹿でかい反射鏡に強力な光を当てて、その反動で宇宙空間を航行しようって言うものらしい。理屈の上では何でも光速に限りなく近いところまで加速が可能とかで、なかなかいんじゃないのと思わせる。ただそうは言っても光源はどうすんの?、燃料は?って話になっちゃうとこちらも現在の技術ではまったく不可能。はたしてそんな理屈が正しいのかどうかさえかなり怪しいんだけどね。」

記者
「机上の空論ということでしょうか?。」

天野
「まあ、現段階ではそう言っていいだろうな。映画や理屈の上では他に反粒子(注3)を利用したエンジンなんかも出てくるけど、やっぱり想像の域を出てないしこれから数十年で何とかなるってもんじゃない。ただテレビやコンピュータだって200〜300年前ならまったく理解不能だろうから、遠い未来のことまで断定することは出来ないけどね。
もっとも仮にそんなロケットが出来たとしてもそれだけじゃあダメ。他にも乗り越えなきゃならねえ問題がいっぱいある。」

記者
「たとえば?」

天野
「たとえばアインシュタインの相対性理論(注4)って聞いたことあるだろ。実はロケットや重力がどうのこうの言うより、ほんとはこっちの問題の方がずっと大きい。
相対論によると地球上のようにほとんど加速を受けない所と、ロケット内のように大きく加速(減速や進行方向が変わることも同じ)を受ける所では時間の進み方が違うって言うんだよな。これは実際に厳密に合わせた二つの原子時計を用意して、その一方をロケットに載せて打ち上げた後回収し比較した実験で確かめられている(うらしま効果という)。
スター・トレックも同じで光速に迫るほどの超強力な加速を受け超スピードで航行すると、そのロケット内では地球上に比べ時間の進み方がずっと遅くなっちゃう。以前映画であった「猿の惑星」はこの理論を基に作られたもので、ロケット内の数年が地球上の数千年(映画では1500年だったかな)に相当しちゃったっていう話。まさに「うらしま太郎」と同じ世界だよね。あの話しの竜宮城って実は宇宙船だったんじゃないか?なんて言われるのもこのため。未来に行くための一種のタイムマシンと言ってもいい。
スピードが遅くっちゃすぐ隣の星に行って来るのも数千年以上もかかる。かと言ってスピードを上げるために加速を繰り返せば地球上との時間差がどんどん大きくなっちゃう。どっちみち飛び出したら最後で、スター・トレックをする限り帰る所はないっていう覚悟が必要ちゅーことだな。」

記者
「やはりどう考えても映画のようなスター・トレックは不可能?。」

天野
「うん、現時点で確認されてる物理学の原理では、いくら逞しい想像力を持ってしてもまったく不可能。たとえあと100年経っても200年経っても、せいぜい太陽系内の宇宙旅行が精一杯ってとこだね。
映画の「スター・トレック」は確か23〜24世紀が舞台だったと思うけど、その頃になっても太陽系外へのスター・トレックはまったく無理だろう。そもそも星間飛行というのが宇宙のスケールからすると、それ自身人間の想像の産物っていう言い方も出来そうだからね。
いやいや、想像出来るものは次々実現してきたじゃん!って言い張る人もいるかもだけど、そりゃ実現出来たことを見て言ってるから。それってホントに想像通り希望通りでしたか? 空を飛んで遠くへ行けるようにはなったけど、飛行機が必要になりましたよねって事。ウルトラマンやスーパーマンのようにシュワッと空身で飛んでよって思うよね。まあ、高いところからの滑空ならちょっとした工夫でできるけど、場所を選ばず鳥のようにどこからでも自由に飛びたち、大空飛び回って遠隔地に行ったりまた戻って来たいでしょ。
話を戻すと同じ理由で地球以外に、いわゆる宇宙人(もちろん太陽系外の)がいたとしても(宇宙の広大さを知れば知るほど存在を否定出来なくなる)、テレビ特番でやってるような地球訪問なんてことは考えにくい。って言うか、そもそも考えに無理がある。もし先の相対論を超越し星間飛行を行うほどの科学力があるなら、そもそも地球人に見つかるようなヘマはしない。わざわざ地上に降りて来なくったってすべての情報は宇宙から観測出来るだろうし、間違ってもUFO墜落なんてあり得ない。地球なんてその気になればボタン一つで吹き飛ばせるだろうし、地球上から人間だけを選択的に抹殺することだって苦もないだろう。とてもとてもインディペンデンス・デイなんて暢気じゃいられないよ。それくらいの天地がひっくり返っても叶わない、圧倒的な科学的・技術的差があるって。
でもそれじゃ映画にならないからさー・・・・^^;^^; 」

記者
「でも天野さん、スピードの問題に限ればワープがあるじゃないですか?。あれは実現出来ないんですか?。」

天野
「あれはだって想像・・・って言うか創作の産物だもん。このままじゃ「相対論がある限り宇宙を題材にSF小説書けない」ってわかった作家が、自分の小説に都合のいいよう理論を組み立て創作した仮説が証明された事実であるかのように装ってるだけ。いかにもそれらしく理論武装してるようだけど、日本的に言えば「風が吹けば桶屋が儲かる」的理論をいくら熱弁されてもはぁそうですか?ってだけ。科学的には現時点でまったく信じるに足らない仮説と妄想のオンパレード。やっぱり映画やアニメのような訳にはいかないよ。
たださっき言ったように現代の生活習慣自身が数百年前ならまったく夢だったろうから、相対論に取って代わるような新しい理論が発見されれば、また事情は違ってくるかもしれない。近年になってアインシュタインの考えていたことにいくつかの疑問が出てきたとも聞いてる。もっともそういうのは相対論自身を否定するもんじゃなくて、その後のアインシュタインが執念を燃やし、現代物理学の最大テーマでもある大統一理論(注5)とか量子力学分野での話。実存世界で相対論自身はむしろ様々な事実から裏付けられて益々強固になってるし、そこから発展された理論が次々と実証されてもはや疑いようのないものとなってる。最近話題になったブラックホールの可視化成功もその一つ」

記者 : 「やっぱり無理かあ?。」

天野 : 「いくら楽観的な俺でもこれは無理だな。少なくても向こう数百年は無理。ついでに言えばタイムマシンもこの部類。「猿の惑星」みたいにロケットで未来に行くことは出来ても、過去に戻ることは出来ない。ホワイトホールだワームホールだタキオン(注6)だといろんなものを利用して理屈で考えることは出来るけど、いずれも形ある物がそれらを利用して過去や未来に移動することは出来ない。
相対論で予言されたブラックホールはおよそ100年後の現在(上述通り)すでに実証され、今時の研究者で否定する人はよほどの変わり者で無けりゃいない。でもホワイトホール、ワームホール、タキオンなんてのは少なくても現段階ですべて創作のたまもの。すべてを呑み込むブラックホールがあると言うならその呑み込んだ物はどこに行くんだ? だったらすべてを吐き出すホワイトホールもあっていいじゃん。じゃーブラックホールで呑み込んだ物をホワイトホールで吐き出すことにして、その間をワームホールとして繋ごう、ついでに時間も前後できるよう弄っちゃえって。いやいや想像たくましい。ちなみに超新星爆発をある意味ホワイトホールと言えば見た目の現象は似てるけど、そのメカニズムはまったく異なるからね。
話を戻すとまあ実現性で言えば、同じ映画の「スタートレック」でやってる「転送(物体を他の場所に電波のようにして送る装置)」ってやつ、あれはちょっと面白いかもしれない。生物など複雑なものはとても無理だけど、ひょっとしてあと100年もすれば水素原子とか単純な原子くらいなら転送出来そうな感じもしなくはない。」

記者
「どっちみち僕が生きてるうちは無理ですね。」

天野
「無理だな。」 

 

注1 スペース・コロニー
宇宙空間に大規模な居住施設を作る計画。いわゆる宇宙ステーションを人間の居住に適するよう大規模に作り替えた物と思えばいい。想像図として回転中心に宇宙船の発着場等を備えた巨大なドーナツ状の施設が考えられ、一施設で少なくても数万人〜数十万人規模になる。規模を大きくしないと施設維持費がなり立たないということでもあり、おそらく認識という意味で現在の国に近い自治体が宇宙空間に散在すると言うことになるだろう。
但しこれにも問題はあり、大きくなればなるほど全体の曲率が小さくなるため回転スピードをそれなりに上げなくては必要な遠心力(1G相当)が得られない。その意味ではドーナツ形より茶筒のような片側塞いだ断面コの字、あるいは中央を塞いだ断面エの字の円筒状の方が利がありそうな感じはする。いずれにしろ、一度所定スピードに上げてしまえばその後は省エネで済むと言うのは本文の通り。
なにかをぶん回して1Gを作ることは簡単だけど、その中に多くの人が居住するだけの規模となると・・・・まあ、スタートレックと違い現代技術の延長上でも実現可能とは言え、現実的にはまだまだ夢物語に近い。ひょっとして大金持ちなら維持費など無視して家族単位やマンションのような共同体単位で、直径100mとか500mとかの小さな施設を地球や月の軌道上に浮かべるなんて時代が先に来るかもね?

注2 ホーキング
現代理論物理学の旗手。現在の宇宙論は彼なしには語れない。その意味では20世紀後半のアインシュタインと言ってもいいだろう。
インフレーション理論は宇宙誕生のビックバン後10のマイナス30数乗という極・極・極短時間の間に、宇宙が少なくても1京倍の更に100兆倍以上、これまた途方もなく膨張したという理論。その範囲は現在地球から観測可能な140億光年の宇宙の彼方より遙かに大きい。こりゃーもう、我々凡人に理解しろってのが無理。ほとんど数遊びって感じ。実は理論より先に数合わせがあったりして?。

注3 反粒子(反物質)
電子、陽子などとまったく同じ性質を持ち、電気的符号のみ反対の素粒子。たとえば電子に対して陽電子とか。すべての素粒子には反粒子が存在するが、現在の宇宙にはほとんど反粒子はない。しかし反粒子は創作や空想では無く実際に存在するもの。現在の地球上でも巨大雷などの際に極々短時間ながら自然発生し存在することが、日本の研究により確認されている。
ちなみにこの世界とまったく逆の世界(その種で言う反宇宙、平行宇宙(パラレルワールド)、別次元とか)が存在するんじゃないか?、などとよくSFで取り上げられるのはこの反粒子の世界が基ネタとなってのことだろう。こちらは創作の域を出てない空想の話。
また現在の宇宙に反粒子がほとんど存在しないのは、ビックバン時に同時に発生する無数のブラックホールに飲み込まれ・・・・、あるいは粒子に対して反粒子の数がゆらぎ(不確定性原理)等によりわずかに少なかったため結果的に反粒子は消滅し粒子のみ残った、などとは前述のホーキングらの説。最近はニュートリノの変異(これも一種のゆらぎ)に伴う現象として、岐阜県神岡鉱山跡地(カミオカンデ他)にて検証実験が予定されている。
ついでに、素粒子と反粒子が出会うと双方は消えてなくなり、その質量が100%エネルギーに替わる。これも物語で良くある同じ物通しが接触したら消滅しちゃうなんてのもここからの発想だろう。そのエネルギーは原爆等の核反応を遙かにしのぐ巨大なもので、現在考え得る最大のエネルギーとなる。
仮に日本庭園とかに転がってる大きめの庭石の一つがすべてエネルギーに替わったとすると、それだけで全人類が1年間に消費するエネルギーの総量に匹敵する。アインシュタインの有名なエネルギー式「 E=mc二乗 (エネルギー = 質量 × 光速の二乗)」で、この「 c二乗 (光速度約30万kmの二乗 = 300000000mの二乗)」の数値がとんでもなく大きいからこうなる。その数値は約90000000000000000(9京)となり、1gの1円玉が9京ジュールのエネルギー(広島形原爆約1.5発分)に相当するってこと。逆に言うとあれほど甚大な被害をもたらした広島原爆も、物質量にすればわずか0.7g分のエネルギーが放出されただけと言うことになる。
反粒子、エネルギー、宇宙、ダークなんちゃらとか、この種のことは上述内容を含め新しい理論なり仮説なりが発表されるたび細かな変遷が多く昨日と今日でガラッと変わったりする。それでもまあまあ現時点の解釈としては概ねこんなところ。いずれにしろ21世紀後半が核融合の利用なら22世紀は反粒子の利用になることだろう。もっとも、そこまで人の時代がまともに続けば・・・・て話しでもあるけど。

注4 相対性理論
1905年発表の特殊相対性理論と15〜16年発表の一般相対性理論がある。1905年当時アインシュタインはまだ20代の青年であったことに驚く。二言三言でとても説明出来る事じゃないので、詳細はそれぞれお調べください。

注5 大統一理論
晩年のアインシュタインが執念を燃やした理論。元々は自然界の4つの力(強い力・弱い力・電磁力・重力)を統一して説明しようという理論。
その後多くの学者が研究に挑み、現在は重力を除く(他の力より桁違いに小さいので一旦無視して)ことによりアインシュタインの考えとは形を変えたものの、ほぼ解明されてきたとは聞いている。

注6 タキオン
光より早く走るという想像の粒子。相対性理論は秒速30万kmの光のスピードを基準としているため、もしタキオンがあれば理論自身に修正が必要となる。実際はもちろんこれも空想の域を出てない。もし光より早く走る素粒子があれば・・・・・っていう、たられば話。

 
最終更新 2022年11月15日
追記更新 2021年 7月10日
追記更新 2008年 2月16日
新規追加 1998年11月 1日
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