マスコミ   980401  No.7

天野 : 「日本人はほんとに馬鹿というかお人好しというか?」

記者 : 「趣味の話じゃないの?」

天野 : 「いったい何度マスコミにだまされたら勉強するんだろうってこと。」

記者 : 「そんなこと言っちゃっていいんですか?反感買いますよ。ボクだってその業界の一人なんだから。」

天野 : 「じゃ、誘導されたらってことにするよ。でもな、わからねえ奴には反感買わせるくらいじゃなきゃだめなんだよな。」

記者 : 「でもねえ、世の中、真意を受け取れない人が多いから。」

天野 : 「そういう人は最初から相手にしてないからいいの。」

記者 : 「嫌がらせメールなんかが山のように舞い込んだりして。」

天野 : 「あんまり脅かすなよ、これでも小心者なんだから。」

記者 : 「また急に弱気んなっちゃったりして。」

天野 : 「とにかくマスコミっていうのはさあ、もちろん特定の会社を指してじゃないんだけど、言ってる報道内容を「はい、そうですか」ってそのまま、まともに信じちゃダメなんだよな。」

記者 : 「というと・・・」

天野 : 「たとえば一番あてにならないのがいわゆる「街の声」ってやつ。」

記者 : 「あの何か大事件が起きたりした時に一般の人の声を聞いて、記事に載せたり放送したり、世間はこう言ってますよっていうやつですか?」

天野 : 「そう、あれ。
新聞に載ったり放送されたりするのは何人くらい?せいぜい4〜5人だろ。まさか聞いたのはそれが全部じゃねえよなあ。もちろん聞いた人全部を流しちゃったら紙面も放送時間も足りなくなっちゃうでしょう。っていうことはさあ、あの街の声にはその報道機関のフィルターがかかってるんだよな。あれは街の声じゃなくてマスコミの声だって。街の声を聞いたマスコミ自身の意見にもっとも近いものを抽出して、「はい、これが世間の意見ですよ」って代弁させてるだけ。時には反対意見なんかもちょっと流したりしてね。でもどちらの意見に主眼があるかってのはいつもあきらかだろ。ご丁寧にキャスターまで最後に一言念押ししちゃったりして。」

記者 : 「ひねくれてますねえ。」

天野 : 「よく出てくる専門家や学識経験者の意見だってそうだよ。1時間も2時間も話したかもしれないのに、実際に放送されたり記事になったりするのはこちらもせいぜい30秒とか二言三言ってとこだろ。全体としては全然違うことを言っていたのに、編集でマスコミの意に添わないところは全部カットされちゃったりな。そんなこといくらだって操作できるんだから。
世論調査も同じ。あれは世論調査ではなく世論操作だっての。いかにも公平に意見を求めているようなことを言うけど、これも始めにマスコミの主張があって、その作りに沿った意見をまとめあげているだけ。(かもしれない)
まず質問の項目が極めて限られていたり、答えも作られた模範解答を選んだりするものだったり。意見を直接あるいは電話で聞いたりする場合でも、実際に紙面に書いてまとめるのは誰?。ほとんどの場合答えた本人ではないだろう。ましてや電話じゃその意見のニュアンスまで正確に受け取られるとは限らないし、悪く言えばすべて記入者側の理解力や整理能力が問われているのにすぎない。
ついでに言えば答える方だって、ほんとに自分の意見をさらけだしているとは限らねえだろ。初めから質問を知らされた上に、どう話そうか考えてたってまともに言えるかどうかわからねえのにだぜ。普通相手がマスコミだとわかって、それも突然テレビカメラなんか向けられちゃったりしたら、はたしてほんとに自分の意見が正確に言えるか?。全国放送かなあとか、会社の人間が見てねえかなあとか、世間体があってほんとのことは言えねえなあとか、いっそのことウケねらいでなんてな。普段から聞いてるマスコミが言いそうな模範解答をなぞったり、平均的な当たり障りのない意見を答えたり、場合によってはカッコつけちゃうかもしれないだろ。いろんなことが頭の中駆けめぐっちゃったりするぜ。」

記者 : 「益々ひねくれてきたなあ」

天野 : 「マスコミのようなマス媒体の意見は多少の疑いを持って聞いておくくらいが丁度いいの。昔は火のないところに煙はたたなかったかもしれない。だけどマスコミが意識しようがしまいが、今では煙をたたせてしまうんだって。それほど強大な力を持っちゃったんだから。
自己の主観と報道のいう客観性は一致しなくて当然なの。そのくらいが一番安全。マスコミに誘導されてはダメ。
日本人てのはいわゆる、その道の権威なんていう人の意見にほんとに弱いんだから。ちょっとマスコミに出たり紹介されたような有名人だったりすると、疑いもなく平気でみんな信じきっちゃう。
統制下とはいえマスコミに誘導されてしまった民衆がどうなったかは、半世紀前を見れば洋の東西を問わずあきらかだろ。もし今、日本にヒトラー級の超強力なカリスマが登場して、宣伝省(ゲッペルスだったかな?)がやったようにマスコミを最大限に利用すれば、日本はもう一度平気で戦争すると思うね。そういう国民性なんだから。
そんなまさかって思うだろうけど、過去の例はみんなその「まさか」ばっかり繰り返してんだよな。」

記者 : 「・・・・自分の主観と報道の客観性?・・・・なんのこっちゃ?」

天野 : 「ん?・・・・そう言った?・・・・間違ったかな?」

記者 : 「ま、文章にまとめればわかるでしょ。」

天野 : 「うん」

記者 : 「ね」

 

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