001027  8.プラスチックのお話(最終回)
 
「いい加減に生分解性プラスチックの話をしろよ!!」ってな声が聞こえてきそうだが、焦ってはいけません。
物事には順序ってものがあります。
もうちょっとガマンガマン。
このシリーズ最後としてこれまで述べてきたプラスチックの総括なんぞ、偉そうに言及してみよう。
 
軽く硬軟自在で加工しやすく安い、三拍子も四拍子も揃ったのがプラスチック。
軽く加工しやすく安いがやや弱い、のが木材。
重く加工しづらいが強く比較的安い、のが鉄系金属。
更に、軽く加工しやすいがやや弱く高い、のがアルミに代表される軽金属(チタンやベリリウムのようにまったく異なる性質のものも多いが)。
主だった材料を乱暴に一括りにしちゃうと、大体こんなところであろうか?。
もちろんそれぞれに多種多様千差万別なのだが、およそのイメージである。
実際の構造物や製品はこれらを上手く組み合わせ、長所同士を合わせ短所同士はうち消し合うようにする。
鉄筋コンクリートなどその代表選手で、圧縮に強いが引張に弱いコンクリートを、圧縮に弱い(曲がりやすい)が引張に強い鉄筋と組み合わせるのである。
ついでに酸化(サビ)に弱い鉄筋をアルカリ性のコンクリートで覆うことで、まさに一石二鳥の効果を発揮しているのだ。
最近でこそ「アルカリ骨材反応」などという弱点も指摘されているが、それでもノーベル賞ものの大発明なのである(発明が古すぎて対象にならなかった?)。
話をプラスチックに戻そう。
良いこと尽くめのプラスチック。
石油化学の発展に伴い次々と新しい品種&グレードが開発され、汎用プラからエンプラそしてスーパーエンプラと金属代替えまでこなすようになった。
弱ければガラス繊維やカーボン繊維を混合し、釣り竿やゴルフシャフトに見られる信じられないような強度と靱性を合わせ持つ素材ともなった(後処理に困る代表でもある)。
たとえ21世紀、石油が枯渇しても(しないと思うが⇒こちら姉妹サイト「はずれる予想にゃ訳がある」参照)合成樹脂としての発展は留まることを知らないだろう。
やがて触媒等による全プラスチックの高効率なリサイクルも可能となる。
但し、但しである。
人間社会では「経済状況が許せば」という前提条件が常に付きまとう。
いわゆる先進国はもちろん、発展途上国では更に切実であろうことは容易に想像つく。
東南アジア、旧社会主義諸国、アフリカ諸国、そして何より日本にとっては隣国中国とインドである。
両国は人類全体の1/3の人口を抱える超巨大国。
そしてアジアには1/2以上の人口が集中し、その多くが発展途上国でもある。
プラスチックのみならず今後の経済発展に伴う需要は極めて大きい。
反面、当然の如く処理の問題はあらゆる素材&製品に対して急務の課題となろう。
爆発的な需要が期待できるということはその償却期間後、爆発的な処理の問題に直面することも意味している。
果たしてその時までに、先の経済状況またはリサイクル技術はどうであろうか?
第四のプラスチック「生分解性プラスチック」は先進国だけのものではない。
むしろ発展途上国でこそ、その真価を発揮するのかもしれない。
 
−−おわり−−
 
最終更新 2003年3月25日
 
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