000404  1.ペットボトルの怪
最終更新 2002/8/20
 
ペットボトルには「えっ、どうして?」と思ういくつかの疑問がある。
1.本来透明樹脂であるPETに、口元のねじ込みだけ白いものがあるのはなぜ?
2.同じく透明であるはずのボトル本体まで色づけしたものの存在理由は?
3.キャップもなぜ透明PETにしないの?
4.商品名を示す体裁ラベルになぜミシン目を入れないの?
5.なぜデポジット制を導入しない?
まず「1」について。これがためリサイクルが難しくなっている可能性もある。ボトルの専門家じゃないのでほんとの理由がどうなのかは知らないが、あまり意味のない体裁とも思える。実際に全体が透明のボトルも存在する以上、技術的な問題とも思えない。どうも海外資本の飲料などに多いようにも思うが気のせいか?
 ⇒追記5参照
「2」も意味不明。プラスチックは一般に色づけしないナチュラル色が一番安い。PETのナチュラル色は透明である。なのになぜわざわざ緑や青に着色したボトルが存在するの?。内容物の変質を防ぐためとは良く言われるけど、何だか商品の差別化や目立たせるためという目的が勝ってるようにも思える。輸送も保管も陳列も、もちろん我々消費者が買ってからも、まさか日なたに置きっぱなしという訳ではあるまい。であればそんなに変質するものなの?。何か別の理由があるんじゃないの?。ホントは中身が見せたくないような色合いとか?。健康ドリンクのビンが茶色なのも変質を防ぐという、同じ理由だと言われるけどホントかなー?。ワタシ、疑い深すぎるかしら?。
 ⇒追記3参照
「3」もやはり理由が分からない。現在キャップは別に分けてゴミ出ししているのが普通。しかしそれでもちぎれた輪の部分はボトル側に残ってしまう。キャップ自身への印刷も必要性はまったく感じられない。わざわざ絵を入れたり商品名やメーカー名を印刷しているものがほとんどすべてと言っていい。これじゃさー、口じゃ何て言っても、リサイクルに対するメーカー意識はまるで○○丸出し?。ここでもリサイクルを面倒にし、わざわざ樹脂混じりや色(印刷顔料)混じりを生じるような行為を平気で行ってるじゃない。ウケがいいから環境環境って言ってるけど、ホントは何も考えてないんじゃないの?そう思われたって仕方ないでしょ。ついでにキャップ裏(中)に防水シールの入る物もあるが、一体物のPETで出来るはず(←最近多くなってきた)。
 ⇒追記1・3参照
「4」は商品名等が印刷されボトルに巻いてある熱収縮フィルムのこと。これもリサイクルの際は邪魔であり外さなければならない。さてこのラベルにどうしてミシン目を入れないのだろう。ビン類のキャップ部分に巻いてあるものはみんなミシン目付きだよ。もし特許などの問題があるのだとすれば所有者はオープンにしてほしい。その方があなたの名はずっと上がりますよ。
 ⇒追記2・3・4参照
最後はドイツ等で行われているデポジット制度。つまり、一昔前コーラビンや牛乳ビンでやってたボトルを返せば10円程度帰ってくる制度。当然その10円は販売価格に上乗せされる訳だけど、少なくてもポイ捨てはかなりの部分減らせる期待が持てる。ボトル拾いだって金になれば積極的になろうかというもの(子供やホームレスの収入源になるかも?)。現在よりボトルの肉厚を増して10回20回と繰り返し使用出来るようにする。技術的にボトル成形時(ブロー成形と言う)肉厚を増すことには何ら問題ない。仮に3倍の肉厚として20回使用したとする。20本の現行ボトルと比較するとPET樹脂の使用量も絶対量(流通数)も、20÷3で1/7近くですむかもしれない(←単純には言えないだろうが)。深読みすれば、PETの材料メーカーや加工メーカーが反対していると受け取られてもしかたないよな。もちろん、洗浄設備が必要となるためメーカーには新たな設備投資も必要となるだろう。結局、メーカーサイドの考えから環境やリサイクルがなおざりにされてると言われちゃうよな。消費者の同意がないと実現は・・・・??。ウソウソ。そんな理由じゃないだろ!!。
PET樹脂は優れた特性を持つ「超」のつく優秀材料である。安全性、機械特性、熱特性、成形性、非ダイオキシン発生、ガスバリア性などなど、いずれもバランス良く保持している。この優秀な樹脂が一部企業の怠慢によって(反論もあろうがあえてそう言わせてもらう)ゴミ問題の代表的標的となっているとしたら、プラスチックに関係した業務を行う者として大変悲しい。願わくば行政を含め早期にシステムの変更を要求したい。
 
追記1
厳密に言うとボトルはブロー成形、キャップは射出成形であり、同じPETとしても材料グレードは違うはず。しかし、一般にリサイクル後に材料として使用されるのは別製品としてであり、私の経験上からも両グレードが混じり合った際の成形加工性や物性に及ぼす影響は軽微なものと思われる。
問題なのは異グレードのPETどうしが混ざることより、PET以外の樹脂や顔料等が異物として混入することにある。そして同じPETどうしなら色をそろえることにより、リサイクル品の質を可能な限り保つ。それはリサイクル事業そのものに貢献するばかりでなく、同時に環境への負荷を軽減することにほかならない。
ついでに、異物がたとえプラスチックどうしでも、溶ける温度が違えば単純に考えてもまずいだろうことは想像出来るだろう。
追記2 2000/4/20追記
「4」の熱収縮ラベルにミシン目の件、ありました。ポッカ、武田、JT等のレモン味500ミリリットルボトルには、立派にミシン目が入っており分別するとき便利。複数メーカーがやってるってことは、たぶん特許等の問題はないのだろう。他メーカーは見習いなさい。もっとも同じメーカーでも有るもの無いもの混在している様子。他にも探せば色々あると思われるが、いずれにしろ大変喜ばしい傾向ではある。時にもっと大手メーカーのPETボトル飲料は?はて・・・・?。まあとにかく一部とは言え、ポッカ、武田、JT、エライ!。その意識が大事なのですよ。
追記3 2001/4/4追記
2001年4月3日付け日本経済新聞記事より
「着色ペットボトルやめます」との見出しで業界組織である「PETボトルリサイクル推進協議会」の方針が4/2までに明らかになった。まさかこのコラムを読んだ訳ではあるまいが先の内容の他、「ラベルへのミシン目入れ」と「キャップとボトル材料の統一」も図るらしい。これで前述の内2.3.4は解決へ向けて対策が施されることとなり、準備のための1年間の猶予期間の後順次実行されるものと思われる。実際の内容は監視していかないと予断を許さないが、何はともあれ大変喜ばしい。まだまだ課題もこれだけではないので、とにかく推進協議会には頑張ってもらい、PETボトルそのものへの一般的認識が新たになっていけば幸い。
追記4 2002/3/24追記
ほとんどのペットボトルラベルにミシン目が付くようになった。PETボトルリサイクル推進協議会の努力に敬意を表したい。
っでそれに追加してお願いを一つ。あのラベル、いざ剥がそうとした時、爪でも伸びてないとこれが以外と手強いんだよなー。もうちょっと簡単に切れないかなーと思い提案を一つ。ほとんどのミシン目が1本だけだと思う(2本の奴も一部ある)けど、あれを2本平行に入れてもらえないかしら。ついでに引っ張る時ちょっと摘めるようタグを設けりゃ万全だね。ほら、よく海苔のビン蓋なんかに付いてるラベルがあるじゃないですか?。ピリピリって摘んで引っ張る。あれですあれ。お願いしますね! m(_ _)m
ところで、K社だけ対応が遅れてるのはどうしてだろう?巨人ゆえのおごりなのか?ラベル在庫を大量に抱えているのか?それとも協議会とは異なる別の考えがあるのか?
追記5 2002/4/1追記
口元のねじ込み部だけ白いものがあるのは、耐熱性を上げるためPETの結晶化度を上げてるとのこと。飲料の中には殺菌する目的などでかなりの高温で充填するものがあるらしい。具体的には天然果汁を使ったジュース類などがそれだが、顔料などを使ってる訳ではないのでリサイクルに対して直接支障を来すことは無いらしい。
ってことで、情報をお寄せ下さった皆様、ありがとうございます。 m(_ _)m
 
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